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炭疽病について解説してます.
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スライドについて.
■炭疽病の基本的理解
・炭疽(Anthrax = ギリシャ語で「黒」,炭疽症状 : Anthracnose )
・糸状菌 Glomerella属(有性時代)Colletotrichum属(無性時代). (両属菌以外も存在する)
・果樹,野菜,花き,芝生,広範囲の植物に発生.
・潜在感染により,ポストハーベスト(流通・市場)病害
■Colletotrichum属意外の炭疽病
・サボテン炭疽病:Microdochium lunatum
・スズカケノキ炭疽病:Discula platani
■炭疽病の発生の特徴
・生育適温 25℃前後.
・春から秋にかけて発生が多い.
・雨滴伝搬,梅雨,長雨,頭上灌水で伝染.
・台風や強風を伴う降雨.
・ウリ科,アブラナ科などの品目で種子伝染.
・テンサイでは,花が感染してると種子も!
・セロリでも種子についてると発病.
(50℃,30分の温湯(おんとう)処理)
■炭疽病の発生の特徴
・葉,茎,果実など広範囲に発生.
・果実や茎などの病斑部に窪みができる.
・同心円状の輪紋.
・高湿度条件下では病斑部にサーモンピンク色の分生子塊を形成.
・前年の被害残渣で越冬,翌年の伝染源に.
■炭疽病の宿主
・宿主植物 約320種
→広葉樹96種,草花81種,野菜41種,果樹38種,
特用作物24種,食用作物13種.
・これら宿主植物のうち70種以上が複数種の炭疽病菌にやられる. (炭疽病菌による病害の発生生態と防除,平山他,植物防除講座)
■炭疽病の発生状況
・2016年,2017年の平均
・イチゴが611ha,カキが2366ha,キュウリ706ha
・栽培面積の1割ほど炭疽病が発生.
■潜在感染
・バナナの追熟:C. musae
→皮の一部が黒変し,オレンジ(サーモンピンク)色の粘塊
・ポストハーベスト問題
・風味・食味ともに劣化.
■イチゴ:C. gloeosporioides,C. acutatum
・現在栽培される多くの主要品種が罹病性.
・発育期での発病多く,6月上旬頃発生,育苗後期に最も多くなる.
・感染した苗はほとんど枯れる.
・葉,葉柄,ランナー,クラウンなどで発生.
・感染初期:うす墨色の直径2~3mmの丸い斑点病斑.
・ランナーや葉柄も折損.
・栄養繁殖だと,潜在感染した親から移る.
・晩秋以降は無病徴となり,健全株と見分けがつかない.
・汚染残渣が通路にあると感染,ベンチアップ効果あり.
・土壌中では数日間しか生きない.
・土壌中に埋設したイチゴのクラウン内では5ヶ月生存.
■ナス科野菜類:C.coccoses
・黒点根腐病:例外的に根が褐色して腐敗.細根が脱落.
■ウリ類:C.orbiculare
・露地栽培,梅雨や秋雨などの時期に多発.
・淡褐色の斑点性病斑 → 大型化していく.
・キュウリなど葉に穴が開くこともある.
・スイカでは,果実の被害が大きい.
・円形のくぼんだ斑点,その後褐色〜暗褐色に.
・高湿度では,サーモンピンク色の分生子塊.
■ブドウ:C. gloeosporioides,C. acutatum
・晩腐病 (おそぐされ病)と呼ばる.
・熟果では淡褐色の小斑点.
・急速に広がって果粒全体を腐敗.
・シワが生じてミイラのような果実に.
・結果母枝や巻きひげが翌年の伝染源になる.
■ナシ:Colletotrichum属
・2000年頃から多発.
・果実よりも葉で多い.
・葉に斑点,その後黄変.
・病原菌の二種は,品種特異的に発生.
■カキ:C. gloeosporioides
・5~7月の多雨により結果枝や徒長枝で発病が多い.
・8月下旬〜10月上旬の多雨が果実の発病を助長.
・果実:黒色の円形〜不整形の病斑.
・枝,芽などで越冬し,翌年の伝染源になる.
・冬季の剪定した部分は,園外持ち出し処分.
■マンゴー:C. gloeosporioides,C. acutatum
・剪定残渣が多い場所で発病が多い.
・25℃では150日,10℃では300日以上,長期間生存.
■他,栽培品目,リンゴやモモなども
・リンゴやモモは,ニセアカシア炭疽病と同一.隣接圃場では多発.
・コマツナ炭疽病は,スベリヒユ,ホトケノザなどが伝染源に.
■発生予察調査
・野菜:イチゴ,スイカ,キュウリ
・果樹:ブドウ,カキ,モモ,クリ
→ 病害虫発生注意報を発表する際の参考になる.
→ 薬剤防除の要否や種類,回数などの決定に利用.
・イチゴの被害は年間35億,薬剤費5億円.
・イチゴ:エタノール浸漬簡易診断法,エタノール噴霧法.
→6~7月の調査,その後の発病度と高い相関がある.
・ブドウ晩腐病:
→結果母枝における越冬菌密度,幼果期の発病調査.
■防除対策
・伝染源の徹底除去
・支柱や用具の消毒.
・降雨を防ぐ,底面吸水,株元灌水,点滴灌水.
・マルチなどを敷いて水はねを抑制.
・輪作をする. ・多肥を避ける.
・樹高が高い果樹類は,暴風雨によって
分生子が遠くまで飛散する.
■参考にした文献
・炭疽病菌による病害の発生生態と防除,平山喜彦他,植物防除,第73巻第4号 (2019)
www.jppn.ne.jp/jpp/s_mokuji/20...
・第6回 植物炭疽病(1),佐藤豊三他,Microbiol. Cult. Coll. 2(51):27 32 (2009)
www.jsmrs.jp/journal/No25_1/No...
・ETIOLOGY AND EPIDEMIOLOGY OF DISEASES CAUSED BY Colletotrichum spp. IN PERSIMMON, APPLE, PEACH, AND GRAPEVINE, Thiago de Aguiar Carraro et al., RAPP, vol.8 136- 162 (2022)
sbfitopatologia.org.br/admin/...
・Identification of Colletotrichum acutatum and Screening of Antagonistic Bacteria Isolated from Strawberry in Chiang Mai, Thailand, International Journal of Agricultural Technology, vol.12, 4, 693-706 (2016)
ijat-aatsea.com/pdf/v12_n4_16_...
・Colletotrichum species associated with anthracnose of Pyrus spp. in China, Molecular Phylogeny and Evolution of Fungi, 42, 1-35 (2019)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/arti...
・Morphological, Pathological and Genetic Diversity of the Colletotrichum Species, Pathogenic on Solanaceous Vegetable Crops in Bulgaria,J. Fungi, 8, 1123 (2022)
www.mdpi.com/2309-608X/8/11/1123
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趣味で果樹や野菜を作っている医師です。スイカの炭疽病で長年苦労していましたが、品種横断的に炭疽病の解説をしてくれる大変クオリティの高い動画ありがとうございました。殺菌剤については紹介されていないものの、それ以前の基本的な知識として興味深いものでした。