全国で導入が進む「保育園留学」発祥の地・北海道厚沢部町まちに訪れた“変化”

道南の厚沢部町が進めている「保育園留学」という取り組みがあります。スタートから
2年余り経って、少しずつまちに変化が現れています。
道南の山あいのまち、厚沢部町。
まち唯一の保育施設、「認定こども園はぜる」芝生が広がる広大な庭では子どもたちは冬でも大はしゃぎです。0歳から6歳までのおよそ80人が通っています。
お友達と一緒に車のおもちゃで遊ぶ、岩田音心ちゃん3歳。
そのころ…音心ちゃんのお父さんは町内の宿泊施設でリモートワーク。
岩田さん一家は普段は東京で暮らしています。
地方に滞在してリモートワークで働く「ワーケーション」をしながら、子どもを厚沢部町の施設に通わせる、「保育園留学」を一家で体験中です。
岩田瑠美子さん:「SNSとかを調べたら、広大な広い土地に素敵な保育園がポツンとあって、子どもが絶対楽しいだろうなっていうのを想像して」
岩田英也さん:「一歩外に出たら、青空と大自然が広がっているので、仕事の合間合間で外散歩するだけでもリフレッシュできて、東京で働くよりも効率が上がるくらいの環境でした」
この「保育園留学」は、厚沢部町が2021年から始めた事業です。
ピーク時に1万人を超えていた人口は、60年あまりの間に3300人ほどまでに減りました。厚沢部町でも人口減少対策は急務です。
厚沢部町政策推進課木口孝志係長:「10年くらい移住体験事業をやってきたんですけど、利用される方が高齢者の方が多く、子育て世帯・世代をターゲットに、町にどう来てもらうのが必要かなというのがあって」
普段と異なる場所で余暇を楽しみながら、仕事がしたいという、都会暮らしの子育て世代から支持を受け、スタートから2年余りで400組以上の家族がこの保育園留学を利用しました。
認定こども園はぜる橋端純恵主任保育教諭:「厚沢部町を知ってもらって、どう、はぜるでたくさん遊んでもらうかっていうことをすごく考えて留学をスタートしたんですけど、いまは来た子と一緒に、はぜるの子もいかにして楽しんで、何を一緒に感じて育っていくか、ともに感じるもの、育つものがあるなと感じていて」
保育園留学と一緒に、まちが始めたもうひとつの取組みがあります。ふるさと納税の一種「留学先納税」です。
この留学先納税をすると、返礼品として町内で使える「あっさぶe街ギフト」というクーポン券がもらえます。保育園留学利用者の4割ほどが留学先納税をしていて、スタートした昨年度はおよそ200万円、今年度はおよそ500万円、町の税収がアップしたといいます。
まちの人たちもこの取り組みを歓迎しています。
カンペシーノ藤岡俊吾さん:「会計のときにお客さんとコミュニケーションのきっかけにもなるし、使ってくださったお客さん自身が、厚沢部町に貢献できたという思いをしているという印象を受けますね」
保育園留学をきっかけに厚沢部町への移住を決めた人もいます。
去年11月、京都から引っ越してきた先山さん一家です。
一家は去年7月に保育園留学を経験。京都に戻ったあと「また厚沢部町に行きたい」という思いが強くなり、移住にまで踏み切ったそうです。
先山英樹さん:「余韻というかロスというか、(厚沢部町は)よかったねって話をずっとしていて。ちょうどリモートワークだったので、行けるならいまならいけるんじゃないって話をしてから、本当に行けるか調べたって感じですかね」
先山さんはいざ、引っ越そうと住宅を探しましたが、賃貸の物件が見つかりませんでした。そこで、まちが移住のサポートをしたそうです。
厚沢部町政策推進課木口孝志係長:「保育園留学で、移住に興味がある方に情報をお渡しする『空き家プロモーション』という取り組みをしています」
空き家プロモーションとは、保育園留学の経験者が実際に移住を考えたときに、まちが空き家の持ち主などの情報を提供するものです。
町内には200軒以上空き家があり、町民も情報提供に協力しています。
先山奈緒子さん:「大家さんが近所にいらっしゃるのが、すぐになんでも相談できます。暮らし方も含めて相談できるのはすごく心強かったです」
そしてもうひとつ、この冬から新たなサービスも始まりました。
坂詰怜記者:「こども園を入ってすぐのところには冷蔵庫があります。中を見てみると、夕食のおかずとして使えるお惣菜が入っています。」
子どもを迎えに来た時に、夕食の総菜を購入できる「おむかえテイクアウト」。保育園留学をまちと共同で運営するベンチャー企業が考案したサービスです。
キッチハイク山本雅也CEO:「仕事終わって迎えに行って、(午後)5時とか6時になって、それからご飯を作るとなると、娘もお腹が空いているし、どうしても手の込んだものを作れない。そういった悩みが家族でありました。はぜるの玄関で受け取れる仕組みにしたらいいんじゃないかって思ったということころです」
週に2回の事前予約制で、町内の飲食店が季節の食材を使ったメニューを1つずつ手作業で作っています。
この日のメニューは、地元産のニンジンやサツマイモを使ったおかずが2品入って550円です。
利用者:「味はすごくおいしくて、自分では作らないようなメニューが多いので、すごくおいしくいただいています」「帰ってから子どもと遊ぶ時間も持てるようになったので、本当にありがたいです」
「こんにちはー」
この日は岩田さん一家が最終日。両親がはぜるに音心ちゃんを迎えに来ました。
子どもはこども園で、大人はワーケーションで。家族3人とも大満足の1週間となりました。
岩田英也さん:「1週間で成長したなって感じました、環境変わったからなのかわからないけど、言葉(語彙)も増えたし、お友達がたくさんいるからなんですかね」
人口減少に立ち向かう厚沢部町の新たなまちづくり策「保育園留学」は、少しずつ成果を挙げています。
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