0:02「夜のプラットホーム」
この曲は元々戦前に作られ、出征する男児を駅で見送る妻の心情を詞にしたものなのだが、検閲に引っかかり発禁となってしまった。戦後になって二葉あき子が吹き込みヒットしたが、戦前盤は淡谷のり子が吹き込んでいた。
3:26「雨の夜汽車」
今の梅雨の時期にピッタリな曲。「青い山脈」「悲しき竹笛」「赤い靴のタンゴ」などがヒットし、戦後の歌謡界を彩る大スターとなったがこの「雨の夜汽車」の哀切な歌い回しも良い。
6:50「別れの夜汽車」
恋人と別れた後、煙草をヤケに吹かし、恋人の面影を思い出し男心をくすぐられ思わず泣いてしまう、なんとも切ない歌。竹山逸郎独特の発音と柔らかい歌い回しでその歌詞の持つ意味を際立たせている。
9:53「泪の夜汽車」
真木不二夫という名前はあまり聞かないだろう。この曲の他にも幾つか売れた曲があるのだが、当時爆発的ヒットを誇っていた春日八郎などの影に隠れてしまったという感じであろうか。地味な歌手として見られがちかもしれないが、その偏見とは裏腹に、春日八郎や岡晴夫や津村謙などに劣らぬ歌唱力を持った方である。その哀愁漂うビブラートは聴衆の心を掴んでいたに違いない。もっと評価されるべき歌手であった。
13:28「赤いランプの終列車」
これは言わずと知れた名曲であろう。春日八郎のデビューヒット作。本人も「この曲あってこそ今の私がある。」と語っていた程である。この曲が発売された1952年当時、春日八郎のような歌声の持ち主は他にいなかっただろう。高音のビブラート、絶妙なこぶし回し、息の長さ、三拍子兼ね揃えた春日の歌は、もはや神の領域だったと言っても過言ではない。
16:55「高原列車は行く」
戦後、「長崎の鐘」や「イヨマンテの夜」「栄冠は君に輝く」などを世に送り出して名声を上げた古関裕而は、地元福島県の磐梯急行電鉄に乗ってその様子を歌詞にした丘灯至夫の詞にメロディを付けて岡本敦郎に提供した。岡本敦郎が歌うと、その爽やかな歌声とスイスの高原の情景がマッチする、と非常に高評価を得てたちまち大ヒット。3番の歌詞の「五色の湖」は、福島県にある五色沼をモチーフとしている。
20:08「哀愁列車」
春日八郎の「赤いランプの終列車」同様別れの鉄道歌謡曲。幼少期から鍛え上げたその歌声は、他の歌手に引けを取らなかった。これぞ真の演歌だと言える偉大な歌手である。この曲は「古城」「りんご村から」「星屑の町」に次いで250万枚を売り上げる空前の大ヒットとなった。
23:53「夜汽車で帰ろう」
神戸一郎と聞くと、「十代の恋よさようなら」「銀座九丁目水の上」そして霧島昇の「旅の夜風」のカバーなどがよく知られているが、この曲も忘れてはならない。神戸一郎ならではの低音のこぶしと柔らかい歌い回しがこれまた聴衆の心を惹き付けている。
27:34「ふるさと列車」
青木光一といえば故郷を偲ぶ歌が沢山思いつくだろう。その中の1つがこの曲。他の曲もそうなのだが、汽車の汽笛に心を締め付けられて涙腺崩壊、という感じの歌詞が多く見られる。冒頭の歌詞で同じ熟語を2回繰り返している部分も、また寂しさを醸し出している。
30:52「あゝ上野駅」
言うまでもない、昭和史に残る永遠の名曲。これを聴いて人生に灯りをともして力強く生きた若者は多かったはず。田舎から都会に上京して、上京先での暮らしや仕事での不安を抱えつつも、1人1人が勇気を持って生きてきた。この曲は、当時の若者やサラリーマンの青春、人生そのものを語った歌なのだ。