原点は高知の朝倉第二小学校『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆さん

「大河ドラマとか歴史の物語がすごく好きなんです。“読書の大河ドラマ”を自分でも書けないかなと思って」と話す、高知市出身の文芸評論家・三宅香帆さん(30)。
4月に出した著書『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』がSNSで話題となり、発売わずか1週間で10万部というベストセラーになっています。
三宅さんが学生時代によく通ったという高知市帯屋町の金高堂本店でも、入り口に入ってすぐの場所に並べられています。
亥角理絵店長は「まずやっぱりタイトルですよね。仕事している人間は誰もが一度は感じたことがある、思ったことがあるんじゃないかと。発売直後からお聞き合わせが大変多くて、われわれもびっくりするくらいでした」と話します。
三宅さんは小さい頃から本が大好きで、学芸高校から京都大学の文学部に進学。しかし、東京の会社に就職して忙しい日々を送る中で、いつの間にか本を読まなくなっていた自分に気付いたといいます。
読書に限らず仕事と趣味が両立できない人が、いま増えているのではないか?この本では日本の労働と読書の歴史をひもときながら、どうすれば仕事だけではなく、いろいろなことを自分らしく楽しんで生きられるかを探っています。
「働いていたり、いろんなことがあっても本を読み続けられる社会にしていきたい」と語る三宅さん。「批評を書き続けながら、みんなが本を読める社会をつくる活動をしていきたい」
三宅さんは2002年、会社を辞めて文芸評論家として独立。名作小説のガイドブックや文章教室、さらにはお悩み相談など、さまざまな著書を通じて読書の楽しさを伝えています。
金高堂の亥角店長は「高知の人は高知出身の方、高知に関わる人を頑張って応援しようという心意気がある県だと思います。三宅さんのことを県出身とご存じなかった方、今が読み時だと思います。これをきっかけに多くの人に読んでいただきたい」と話します。
三宅さんが本好きになったきっかけは、母校である高知市の朝倉第二小学校です。
7月8日、図書室で夏休み用に借りる本を選ぶ4年生の授業では、子供たちが思い思いの本を手に取っていました。
記者「めっちゃ持っちゅう」
児童「すごいでしょ」
記者「何冊持っちゅうが?」
児童「7冊です」
記者「本を読むってどうですか?」
児童「楽しいし、次のページがワクワクします」
朝倉第二小学校では1998年から図書室を鍵のないオープンスペースにして児童がいつでも本を読めるようにしました。それに合わせて読書教育を推進、朝の読書タイムをいち早く取り入れるなど、2004年には文部科学大臣から表彰されました。
PTAも季節ごとにオススメの本を選んで手書きのポップを作成。廊下などの壁には地域の人たちが本の表紙をかいていて、子供達が自然に読書に興味を持てるようにしています。
みんな、どんな本を読んでいるのかな?インタ 8秒児童「なぞなぞの本」記者「2人で読みゆうが?」児童「まぁ、解きながら」インタ10秒「将棋が好きで上手になれる本とかよく見てます」インタ17秒 
西田尚弘校長は「子供たちの手元にいつでも本が届けられる環境に整えております。本を読むことによって心豊かな子供に育ってほしいなという思いを込めて取り組みを進めています」と話します。
三宅さんは現在、気鋭の若手文芸評論家として注目を浴びていますが、高知での小学生時代に本の魅力に出合えたことが原点だといいます。
三宅香帆さん:
読書って推進されてたなという感覚があるので、すごくありがたかったですし、そういう素地があったから自分も本好きになれたんだなって思います
高知で出合えた本で読書の楽しさを知ることができたという三宅さん。「これからは自分が次の世代に本の面白さを伝えていきたい」と話していました。

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