【天〜天和通りの快男児〜】を哲学的に紹介したい。
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動画の書き起こし版です。
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『天～天和通りの快男児～』は1989年から2002年の間に
近代麻雀ゴールドで連載されていた麻雀漫画です。（全18巻）
作者は福本伸行さん。
代表作はなんといっても『カイジ』ですね。
『天』には個性的な登場人物が数多く現れます。
主人公である天貴史。
破天荒な性格で、何事にも執着がなくいつも貧乏だけど
周りから常に愛される存在。
そんな天と出会った井川ひろゆき。
リアリストな大学生で天とは真逆の性格を持っています。
そして天才赤木しげる。
後にスピンオフとして『アカギ』という漫画にもなる超人気キャラです。
天才的なギャンブルの才能と、その独自の哲学思想によって
誰にもまねできない生き方を体現している存在です。
その他、数多くの魅力的なキャラクターたちが
個性をぶつけ合わせしのぎを削る戦いを描いています。
そんな中でも、特に最後の章
単行本ですと16．17．18巻は異色です
かつて天才の名を欲しいままにしたアカギが
若年性アルツハイマーを患ってしまいます。
アカギは「自分を失ってしまう前に片をつけたい」と
安楽死することを選びます。
安楽死を決行する夜。生前葬という名目で過去に親交があった者ライバルだった者。
合計8名を呼び出します。
呼び出された8名はアカギに死んで欲しくないので
それぞれが一対一でアカギと対話し、
彼の死を阻止するという構成で話が進みます。
そこで繰り広げられる様々な対話の中に
哲学的に考えさせられるものがたくさんちりばめられているのです。
今回はその一部を紹介したいと思います。
～成功を積み過ぎると窮屈になる
若くして暴力団の組長になり、大成功を収めている原田に対して
アカギは「おまえはろくに生きていない」と言い放ちます。
人生において『勝つこと』は最低限必要だとしながらも
成功を積み過ぎると満足に動けなくなりむしろ自由ではなくなると言います。
成功は裸を許さない。装うことを強要してくる。
それはみすぼらしい人生であり「本当に生きていると言えるのか？」
と問いかけます。
原田はそれによって、自分が成功という呪縛に縛られていたことに気付きます。
裸足で庭を歩く。そんな普通のことも常識によって縛られている。
個人的に大好きなエピソードで、好きすぎて額にして飾っています。
～普通ということ
井川ひろゆきは人生に悩んでいました。
悪い人生ではないもののどこか消化不良で生きている感じがしない。
アカギはそれを見抜き、ひろゆきを諭します。
ひろゆきは惨めな生活をするリスクを負って行動するぐらいなら
『まとも』な生活を選んだ方がましではないかと言います。
アカギはそれに対し、そもそも『まとも』や『普通』という言葉は
客観的に見るとおかしい言葉だと断言します。
まともや普通は時代時代で移り変わるものであり
『正しい人生』などというものはそもそもありはしない。
その正しい人生という概念は時代時代で人々を惑わせる。
そのようなものに合わせる必要は一切ないと言い放ちます。
『熱い三流なら・・・上等よ・・・！』
は後世に残したい名言です。
～死について
アカギは死ぬのが怖くないのか？という問いに対し
論理的に死の恐怖を分析します。
彼はある意味虚無主義的な思想を持っており、
死んで０になるならそれでよし、
死んで意識が残るなら面倒な身体から解放されるのでそれもよし。
だからどちらに転んでも問題はないと言います。
彼の才気はこのような死生観から来るものだったのかもしれません。
～魂について
魂はあるのか？という質問にアカギは
「まるでない。とは言い切れないのではないか？」と答えます。
これまで生命が進化してきた歴史、そこには確実に目的が存在し
その目的を運ぶ何かを魂と呼ぶことが出来るかもしれない。
アカギは生命には方向性があると考えているようです。
これはまさにショーペンハウアーの思想と似通っていますね。
読み方によっては「人間は意志の表象である」とも読み取れます。
作者の福本さんはまず間違いなくショーペンハウアーを読んでいます。（断言）
～生命の流れと自分
なんと、漫画の中でリチャード・ドーキンスの
『利己的遺伝子論』が取り上げられます。
人間はDNAの乗り物に過ぎず、それに操られている。
アカギはこの理論に一部同意します。
それは先ほど述べた生命観とリンクするところで
生命誕生以来という長いスパンで考えた場合には
人間を乗り物に例えるのも妥当だと考えます。
しかし、スパンを短くして『人間の一生』と捉えると
話は変わるのではないかと主張します。
『人間の一生』というタイムスケールで考えると
少なくとも感覚的にはその主従が逆転します。
「DNAとやらも含めて俺の乗り物だ」
「主役はあくまでも俺、命は俺を運ぶもの」
「俺が俺を全うするために命がある」
だからこそ、その『俺』が消えてしまう命に
アカギは価値を見いだせなかったのでしょう。
今回紹介した場面は天最終章のほんの一部です。
個人的に、アカギは誰よりもわがままに自分の生と向き合った存在だと感じます。
漫画のキャラだからこそ成立する存在でもあり
その意味でも『天』自体が漫画というプラットフォームの特性を活かした
素晴らしい作品だと思います。
ご興味がありましたら最終章だけでも結構ですので
ぜひ読んでみてください。
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#天―天和通りの快男児
#アカギ
#哲学チャンネル
Пікірлер: 46
熱い三流なら上等よの明言に助けられます。
これは完全にソクラテスの弁明のオマージュよね 死がほぼ確定した場面からはじまり変意を促す立ち会った人間 そこからはじまる対話篇、これはほんとにすばらしい作品
僕の哲学書でもあります。 赤木の 【俺は俺のまま死にたい】 という言葉から哲学にハマってしまいました。
赤木しげるのフグ刺し理論は海原雄山の『料理とは人の心』と本質的に同じなんだよな
まさにひろゆき的思考で生きてきているのでアカギの諭しが刺さります…
「天」は凄い漫画だよ。 面白いとかつまんないとかの感想をすっ飛ばして、麻雀を知ってる人も知らない人も読み終わった後は「凄い」って感想を持つと思う
「天」の最後のアカギの説教は「やられる」んですよね。でも、あれは福本氏の語り口がうまいんで、成功にとらわれた囚人とか、世間の物差しを拒否する自分らしい生き方とか、核だけ抜きだせば、よくある人生訓だと思います。アカギはやっぱり、アダルトな大人向けのヒーローで、二人麻雀終局の「天」のどんなひどい条件や環境でもそれだけで人生は決まらない、という信念の方に打たれました。
名作きたー。 私も葬儀のくだりは何十回も読み返しました。 思い出すだけで泣きそうになります。
この作品に限ってはもっと3時間ぐらいたっぷりやってほしい。 おれのくだらない人生の中でも、一番心を動かされた漫画だから。
@s4quattro72
Жыл бұрын
これで心が動いたかたの人生がくだらないはずはないと思います。
@user-wn1cb1cc4l
Жыл бұрын
このチャンネルの視聴者な時点でくだらない人生なわけないですよ！
金儲け優先でのつまらない動画ばかりのKZreadの中で、このチャンネルは一作一作を丁寧に作成しているし、誠実性を感じます。
アカギはほとんど主人公になってた
いいっすね この章だけでも単行本買い直そうかな
麻雀はわからないけど、天は啓発本も兼ねて置いています もちろん内容も面白いです
天を選んだ時点で投稿者さんのセンスを感じます^o^
え、アカギは天のスピンオフだったの！？そこにびっくりしたり。どっちもすごく好きな作品だけど全然知らなかった。
俺が先にタヒんでやるッ！ほんとすき
天もアカギも大好きな漫画です。 そしてアカギの名言は数しれず・・。 アカギの漫画は1話から彼の名言にしびれっぱなしでした。 "死ねば助かるのに" "どうせ死ぬなら強くうって死ね" ギャンブルに限らず、仕事や人間関係、恋愛でも彼の言葉は私の背中を押してくれました。 ありがとう、アカギ！
まさか、福本先生を取り上げてくださるとは…麻雀漫画のジャンルを飛び超えた名作ですね。 昔、読んだ時は意味が分かりませんでした。生と死、生死を超えた世界を語っていたんですね。
まさかの「天」！いい漫画ですね～ 面白さなら「銀と金」が一番だと思いますし、人へのオススメ度で言えば「カイジ」が一番です。 しかし「天」は福本漫画の全要素と作者の成長が詰まっている最高傑作です。ベストオブ福本漫画。 最終章は涙なしでは読めませんでした（それとこの最終章、「クリトン」「パイドン」にも影響されてそう）。 でも自分の中では「最強伝説黒沢」が一番好きな福本漫画… 天以上に泣いたし、天以上に影響を受けたな…
ほんまアカギの葬式編すき
こ…個性的な漫画ですね。読んでみたいです。私がどうしてDNAのことがずっと気になっているのか…繋がってびっくりしました(笑)自分って、何なんでしょうね。自分って何処にあるのでしょうね…。この乗り物も面白くて気に入ってたけど廃車になるなら仕方がない、いつまでもしがみついてはいたくない、自分から降りて出ていくという選択は「覚悟」であって、死にざまではなく生きざまになるのでしょう。そこに後悔などあろうはずはなく、自分という意思の表れなのでしょう…。人間に生まれてきたことが人生ゲームという一世一代の大博打なら、死とは上がりだと思っています。そのゲームを支配するのは他の誰でもない、自分でなければならない。 自分って何？ 哲学的に考えさせられるものがたくさんちりばめられていますね。
福本伸行さんは本当に天才よな。 カイジしか読んだこと無かったから今度買ってみようかな
@user-bx2wd7ne2j
3 жыл бұрын
16.17.18巻だけでも読んで欲しいです
「天」も「アカギ」も読んでます。今回ような動画もいいですね！
他の漫画の名前出すのは筋違いかも知れないですけど、進撃の巨人大好きな自分が最近このチャンネルに出会って、正義と善シリーズや反出生主義の動画を見たんですけど、見れば見るほど進撃の作者の諌山先生は哲学の影響を受けたんじゃ無いかと思えました！ 進撃の巨人を読む機会が有ったらぜひ紹介して欲しいです！
最終章は何度読み返したか・・・マスターピースです
額に入れて飾るのは草
@user-or5vy1ek4t
3 жыл бұрын
最大級の褒め言葉です笑
あんまりこう言うコメントすると安っぽく捉えられるけどそれでも赤木の葬式編は俺の聖書
天はずっと気になってるけど、麻雀に詳しくない上に序盤の照明落としてイカサマ天和とかされててもイマイチ面白みにかけて最終章だけ読みたい。が、最終章が何巻からか調べるのを後回しにしているうちに忘れてる
個人を個人たらしめているのは記憶の蓄積なので、その記憶を失うというのは象徴的ですね。 物理的遺伝子の他に文化的遺伝子(ミーム)というのがありますが、マンガもそのひとつでしょう。 生前葬の場で言霊を伝えようとしたのは永遠の命に連なろうという意志の表われなのか。 そう考えるとアカギにとって最後の墓の絵は無意味ではないのかもしれませんね。
何が凄いって、麻雀漫画専門誌で3巻分もの長期間一切麻雀をしない漫画の連載が許されていた事実 じゃあ麻雀で勝負して決めようやって話が持ち出されてついに来たかと思いきや 「オレにはもう麻雀（それ）が・・・よくわからんのよ・・・！」
俺は俺の死を死にたいって曲と通じる
アカギと天が対決したのだからカイジは最後アカギと天とマージャンにしてほしい。
「天」は本当に面白い麻雀漫画！東西対決で覇を競った暴力団幹部原田等もアカギの生前葬に参加。死を控えるアカギに参加者が諭されると言うギャンブル漫画では異例の展開だが作品には多くの読者が引き込まれた名作
好きすぎてがくに飾っていますが好き
この漫画最終章だけ読んでもアゴ尖った変な人が変な屁理屈こねて自殺しようとしてるだけなイメージで終わりそう やっぱ全部読んでアカギの哲学とカリスマ性を見た上じゃないと意味がない
人生は自分のためにあることをもっとみんな気付くべき！
我思う故に我あり、か
化物語 にも考えさせられる名言たくさんあるよ。
ごめんなさい。私は基本的にマンガは絵柄からはいるので。🐺 私以上のマンガでないと、読みません。(。・・)
@I_LOVE_OPPAI
3 жыл бұрын
私以上ってなんなのか
@seul5777
3 жыл бұрын
KZreadのコメ欄って多様性感じるわ