【世界遺産】 アジアのマチュピチュ~王の狂気と孤独を伝える美女の壁画と山上の王宮

インドの南に浮かび、紅茶と宝石の産地で知られる「輝きの島=スリランカ」。熱帯のジャングルが鬱蒼と広がる島の中央部に、シギリヤ・ロックと呼ばれる高さ約195mの岩山が忽然と聳え、その頂にはシンハラ王朝の5世紀、父を殺害し王位を奪ったカッサパ1世が築いた王宮の跡があります。仏教国で父殺しは最大の罪。罪の意識から逃れるかのように、断崖の上に安住の世界をつくり上げた。
かつてワニが放たれていた、城壁を取り囲む蓮の水路を越え一直線に進むと、岩山の中腹に美女の壁画『シギリヤ・レディ』が迎えます。カッサパ王が父を弔うために描かせ、当初は500体あったようですが、風化により現在は18体が残るのみ。花や草木などの顔料で描かれた美女たちは妖艶で、その壁画が映るように磨き上げられた岩壁「ミラーウォール」も近くにあります。さらに階段を登りライオンの前足が彫刻された「ライオンの入口」へ。以前は頭部もあり、ライオンが大きく口を開け王宮へと導いていました。シンハラ語でライオンをシンハ、のどをギリヤといい、これがシギリヤの語源ともいわれています。
「狂気の王」カッサパが王位に就いたのは459年。7年後に山上の豪奢な王宮は完成しますが、わずか11年後には異母弟の反攻にあい自害。生涯自責の念は消えることがなかったと思われます。野望と悲哀が交錯する王宮は跡形もなく、かたや1500年を経てもなお鮮やかさを保ち続けるシギリヤ・レディ。その微笑みは父王の死を悼み、カッサパ王の罪さえ許すかのように穏やかです。
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