最初の武士として登場し、文化にさまざまな影響を与えた平将門の実像と伝承に迫る特別展「平将門伝説～東国の自立を夢見た男　その史実と伝承」が坂東市山のさしま郷土館ミューズで開かれている。
将門に関連した歴史資料や出土物、美術品など約220点を集め、最新の将門研究を紹介。東京都千代田区の神田神社(神田明神)に収蔵され、信仰の対象となっている「七人影武者将門像」も特別に借り受け、展示している。平将門生誕1111年記念事業の一環。
会場には、将門が関東で紛争を起こし朝廷に反逆、討ち死にするまでの経緯を記した最古の歴史資料「将門記」の2種類の写本の複製を展示。将門の活躍した10世紀初めごろの住居跡と考えられている然山西(しがれやまにし)遺跡(坂東市内野山)から出土した鉄の矢じりなど鉄製品や、将門が襲撃した下野国庁(栃木県栃木市)の発掘調査の成果も紹介。将門が関東で強い勢力を得た理由と考えられている、坂東周辺での製鉄の隆盛と馬の利用の実態に迫る。
また、将門の怨霊を骸骨として描いた歌川国芳の浮世絵「相馬の古内裏」や、俳優の加藤剛さんが将門を演じたNHK大河ドラマ「風と雲と虹と」など、信仰や文化の中で形づくられたさまざまな将門像を紹介。明治以降に「反逆者」として評価を低められた経緯から、現代の再評価の動きまでを分かりやすく説明している。
板垣隆館長は「郷土の英雄がどういう人だったのか、この機会に知っていただきたい。子どもからお年寄りまで、将門を通して故郷を見詰め直してほしい」と話している。
会期は12月23日まで。入場無料。問い合わせは同館TEL0280(88)8700