JR東海の旧セントラルライナー車両 313系8000番台 静岡で活躍を始めた本当の理由(静岡県)

JR東海が3月12日に行ったダイヤ改正に合わせて東海道線の静岡県内区間にちょっと豪華な車両が引っ越ししてきた。313系8000番台。かつて中央線の名古屋~中津川間を走った「セントラルライナー」で使われた車両だ。JRの発足当初から30年以上使われてきた古い車両211系と入れ替わり、今後、静岡地区の第一線で活躍する。
 ダイヤ改正から間もない平日朝9時の静岡駅。通勤・通学ラッシュが終わり、少し落ち着いてきた時間帯だ。在来線の下りホームに入ってきたのは、オレンジ色の塗分けが少し違う静岡駅では見慣れない車両だった。普通列車として浜松駅を目指す。
 車体にはクハ312-8005と書かれていた。313系8000番台と呼ばれる車両で、JR東海・静岡広報室の担当者によると6編成(1編成3両)で合わせて18両を今後、静岡地区で運用するという。今回、静岡放送は、静岡県内のマスコミとして初めて、この列車の車内での取材を許可された。
 早速、車内に入ってみる。椅子は進行方向に向けることが可能な「クロスシート」が並んでいる。この車両は、もともと名古屋地区の中央線で乗車券とは別料金が必要な「セントラルライナー」で使われていた。このため通常よりグレードの高いシートが採用されている。車両の連結部分には、テーブル付きのボックスシートもある。
 静岡県内の東海道線普通列車は、これまで横に長い椅子で窓を背にして座る「ロングシート」がほとんどだった。沿線には人口10万人前後の都市が連なり乗り降りが頻繁なため、通路が広いロングシート車両は利用者から一定の評価を得ている。それにも関らず今回、JR東海が「クロスシート」の車両を配置換えし、静岡県内で走らせることにしたのには理由がある。それは、313系にはバリアフリーの大きなトイレが付いているからだ。
 JR東海の発足当初から東海道線の主力として活躍してきたロングシートの車両は211系。車齢は30年を超え、トイレの設備はもともと付いていない。ロングシートタイプでトイレが付いた313系の一般形車両もあるが、どちらが来るかは運次第だ。東西に長い静岡県。長距離を移動する人もいて、利用者からは「トイレ付きの車両を増やしてほしい」という声があったという。
 JR東海によると、トイレ付きの車両は今後も増え、2025年度にかけてロングシートの新形式通勤型電車315系の投入が予定されている。315系の投入が完了するとJR東海の全列車がトイレ付きになるという。
 ちょっと豪華なシートを備えた旧セントラルライナー車両。静岡駅では異彩を放ち、ロングシートに慣れた静岡県民には当初、戸惑いもあったようだ。それでも6編成あることから乗るチャンスは多く、導入から数日がたち、手慣れた様子でシートの向きを変える利用者の姿が見られた。
 在来線のサービス改善を進めるJR東海。静岡県民の心をつかみつつある。
3月20日放送
※最初の映像の日付は3月16日となっていましたが、正しくは3月17日でした

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