ルーマニアで前例のない現象が起きています。欧州連合（EU）加盟から17年を経て、初めて移民のバランスが逆転しました。2022年、ルーマニアへの帰国者数が出国者数を上回ったのです。
国立統計研究所の発表によると、2022年にルーマニアは9万人以上の人口増加を記録しました。その大半は、スペイン、イギリス、ドイツ、イタリアなどの西欧諸国から帰国したルーマニア人だといいます。
帰国者の一人、アンドレイ・ニコラさんは、イギリスで成功を収めた後、1年前にルーマニアのシビウ県に戻り、牛農場を始めました。「イギリスでの生活は充実していましたが、家族とともに故郷に戻ることを決意しました」とニコラさんは語ります。
また、イタリアから帰国したエルビラ・モラルさんは、ブラショフでピッツェリアを開店。「家族経営なので、イタリアにいた頃よりもずっと熱心に働いています」と話します。
さらに、イギリスから帰国を決意したバリシ家の事例も。リヴィア・バリシさんは「自分たちの国に住むチャンスがあり、それを活かしたいと思います」と述べています。
専門家は、この現象の背景にEU加盟による自由な移動と就労の権利、そして故郷での新たな機会の創出があると分析しています。40歳以下の若い世代の帰国が目立つ点も特徴的です。
ルーマニア政府は、この傾向を歓迎し、帰国者の再定住を支援する政策を検討しているとのことです。
今後、この「帰国ブーム」がルーマニアの経済や社会にどのような影響を与えるのか、注目が集まっています。
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